「奨学金」は今、どうなっているのか  

ナビ部アラカルト

2016/10/22

もう一つの高校 その8

日本の社会では「学歴」が、貧困から抜け出す大きなキーワードになっている。
そのために、無理をして大学に行く人がいる。そういう人の多くは「奨学金」を借りている。

奨学金の種類

「奨学金」は、能力のある学生に対して、金銭の給付・貸与を行う制度のことだ。

本来は、成績優秀な学生に対して、返済する必要のないお金を与える「給付奨学金」のことだった。しかし給付奨学金は、一握りの優秀な学生にしか適用されない。大学や企業、自治体などが実施しているが、その数は非常に少ない。

 

返済が必要な「貸与奨学金」は、無利子、あるいは低金利で学生にお金を貸し付ける制度だ。日本では「奨学金」といえば「貸与奨学金」のことを指している。

これも、多くの団体や企業が実施しているが、最大のものは国や公的機関の奨学金制度を統合した「独立行政法人日本学生支援機構」の「奨学金」だ。

「貸与奨学金」は、大学や短大、高専、専門学校の学生が、学費、勉学費用の一部を借りる制度だ。

「貸与奨学金」を借りた学生は、卒業後、社会人となってから毎月少しづつ返済していく。

毎月の返済額は少額のことが多く、結婚してからも返済している人もいた。

高度経済成長期には、こういう形で「貸与奨学金」を借りて大学を卒業し、企業に就職して返済した人がたくさんいた。

「若いころは給料が安くて、奨学金の返済は大きな負担だったが、だんだん給料が上がっていったから、返済は楽になった。奨学金がなければ大学には行けなかった。感謝している」

と語る人も多い。

しかし今、「貸与奨学金」は、大きな曲がり角に差し掛かっている。

「貧困」が社会の問題となる中で、何とか「貧困」から抜け出すために、大学に進学しようと思う人が増えてきた。

しかし親の支援は期待できない人は「奨学金」を借りることになる。成績優秀な人は返す必要がない「給付奨学金」を利用することができるが、多くは「貸与奨学金」を借りる。

それでも足りなくて、アルバイトをする人も多い。

卒業までが一苦労だが、何とか卒業できた人には、「貸与奨学金」の返済が待っている。

かつては、大学卒業生は多くが企業に正社員として入社し、安定した収入があったが、今は大学を卒業しても、正社員になれない人はたくさんいる。

アルバイトやパート、非正規雇用に就かざるを得なくなった学生は給料も低く、雇用も不安定だが、その上に「貸与奨学金」の返済がのしかかることになる。

仮に300万円の「貸与奨学金」を借り、10年で返済するとすれば、無利子の場合でも年間30万円、月に2万5千円を返済することになる。

非正規雇用の給料は十数万円だから、これは非常に大きい。「貸与奨学金」を払うために、生活費を削ったり、貯金ができなくなったり、家賃が払えなくなったりする。このために返済をやめてしまう人も多い。

かつては、「貸与奨学金」が返済できなくても、貸付元の企業や「独立行政法人日本学生支援機構」は、あまり厳しい取り立てをしなかった。返済を待ってくれたし、状況によっては返済しなくてもよいこともあった。

しかし今は厳しく取り立てることが多い。そのために、破産してしまう人も出てきている。

その背景には「独立行政法人日本学生支援機構」などの運営が苦しくなっていることがある。

奨学金を借りる人が、非常に多くなっているのだ。前回に紹介した通り、大学進学を望む高校生がまだ増え続けていて、そのうちの多くが、奨学金を利用しているのだ。そしてかなりの人が、奨学金の返済が難しくなった。

「独立行政法人日本学生支援機構」は、儲ける必要のない非営利法人だが、それでも赤字を垂れ流すわけにはいかない。

そのために、返済を厳しく迫るようになった。また、無利子の「貸与奨学金」を少なくして、有利子のものを増やしている。

さらに言えば大学の学費が高くなっていることも大きい。かつて、国公立大学は安い学費で学ぶことができた。国が財政を支援していたからだ。私立大学も、私学助成という形で支援を受けていた。

しかし近年、国の財政が厳しくなり、大学も独立採算、つまり自分たちの収入で大学を維持することが求められるようになった。

このために、大学の学費はどんどん上がっている。

30年前の1986年、国立大学の学費は年間25.2万円、入学金は12万円だったが、2015年には学費は年間53.8万円、入学金が28.2万円。

私立大学の学費の平均は、1986年は学費が49.7万円、入学金は24.2万円だったが、2014年には学費は86.4万円、入学金は26.1万円になっている。

今では、4年間、大学で学ぶためには国立でも243万円、私立は372万円が必要になる。これ以外にも通学費用や下宿代がかかる。

これだけの負担ができる親がいればいいが、そうでない場合は、「奨学金」に頼らざるを得ない。

しかし、「貸与奨学金」を借りた人は、卒業して社会に出たとたんに大きな借金を背負うことになる。

「貧困」は、社会に出たばかりの人にも、大きなハンデキャップをつけることになるのだ。

 

大学を目指す高校生の皆さんは、このことを考えてみる必要があるだろう。

Crick

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