平成29年 高校生の文化部の甲子園「みやぎ総文」で圧倒的インパクトを与えた「パワードスーツ」

みてみて!うちの部活!

2017/11/14

埼玉県立大宮工業高校 美術部

平成28年「宮工祭」で出会ったとき、フォルムの斬新さに驚いた。その名は「疑似戦闘用着脱式パワードスーツ 伽羅倶利 KARAKURI JAM 815」、大きな舞台にあがることが決まった立体作品だった。

顧問 野口聡子教諭(美術)、3年生5人、2年生6人、1年生3人(全員男子)で活動

埼玉県立大宮工業高校の美術部のユニークな立体作品は、平成28年の埼玉県立美術館で行われた高校美術展で優秀賞に選ばれ、平成29年8月に行われた「第41回全国高等学校総合文化祭」(みやぎ総文)に埼玉県代表として参加。宮城県立美術館では、会場の真ん中、360度どこからでも眺められる場所に置かれ、注目を集めた。

学校の事務受付エリアに入ると、スクッと立った戦闘ロボットに目をうばわれる

精巧で、質感は鋼鉄製に見える

足元にはメンバーが着用した写真が!

パワードスーツを装着すれば強くなる かっこいい戦闘の形

学校の事務受付エリアに入ると、スクッと立った戦闘ロボットに目をうばわれる。これは今年の「みやぎ総文」で話題になった「疑似戦闘用着脱式パワードスーツ 伽羅倶利 KARAKURI JAM 815」という長いタイトルがついている作品でロボットではない。

 

平成28年の宮工祭での仕上がりとメンバー

平成28年の宮工祭のときの状態(美術室にて)

パワードスーツとは、人体に装着される動力を用いた衣服型の装置のこと。上半身と下半身に分かれた戦闘スーツの作品で等身大の人間が着脱できるようになっているのが最大の特長だ。昨年、埼玉県の高校美術展で優秀賞を受賞した。平成28年の「宮工祭」で展示されていたときより、バージョンアップしたようにみえる。

(参考:平成28年 宮工祭での様子 竹仲夢大(ゆうた)君(当時2年生)が解説している)

製作の中心になった竹仲夢大くん(3年生)に話をきいてみよう。

「仙台で行われた「総文祭」に展示するにあたっては、壊れてしまったパーツを替えたり、色を塗り直したり、さらに、細部にもこだわって、いろいろ手を加えています」。

編集部 シャキッとより強そうになりました。製作秘話はありますか?

「最初この作品をつくるとき、パーツが多かったり、構造が複雑だったりして、デザイン画や説明だけでは伝わらないことが多く、5人のメンバーとの意思の疎通をはかるのが大変でした。

締め切りにも追われ、不安になったり、雰囲気が悪くなったりすることもありましたが、作品が形になってくるにつれ、やるべき事が各人で把握しやすくなり、みんなでしっかりと作業をして、お互いに協力し合って完成させることができました」

渦中は大変だった、顔を見合わせて「ウン、ウン」

私が着用したのだ

「金属でできているの?ときかれることの多い装甲は、スチレンボードにシルバーや黒、オレンジの塗料で塗り、金属の感じを出しています。色をグラデーションにしたり、戦ってきた後の姿なので、砂をふきつけるなど、汚しの工夫もしてあります。日本の代表として戦う勇者が着用するスーツなので、桜の花びらを散らしたり、日の丸や菊の御紋をつけたり、日本らしさの表現にも手を抜きませんでした。こだわり抜いて、かっこ良い新しい戦闘の形を作りました」

編集部 着て動きまわったらインパクトがありますね?

「総文祭では、着られるスーツとして驚かれましたが、『作品に手をふれないでください』となっていたので、みなさんは近寄ってみるだけでした。着脱できて、手の指まで動かせるようなところをお見せできたら、もっと面白がってくれると思いました」

足元には着用した写真が!

これくらいの大きさ 足元にも桜の花が

かぶってみせてくれた 頭頂に桜の花びらをあしらっているところに注目

台のボード、ここにも桜の花びらを散らしてある

工業高校だからできた技術力と多彩な材料調達によるコスト削減

スーツを着用させているのは、木材を芯にエアーパックをまいて美術部員と同じ黒のつなぎを着ている身長170cmのみんなの分身だ。製作中は自分たちで着てみて、調整しながら作ったので、スーツ自体が人格をもった仲間のようになっていたらしい。

スーツにニックネームで呼びかけることはなかったのだろうか?

「そのときどきで、『おい、おまえ』とかいろいろ呼んでいましたけれど、マイケルジャクソンにちなんで『マイケル』と呼びかけることが多かったかな」

それにしてもマイケルくんは、スーツといえども細かいところまで手をぬかずよくできている。肘や膝がまげられる人間の動きを取り入れ、ライトをつけたり消したりできたり、工業高校ならではの優れた技術が駆使されている。

 「鋳造などは工業高校の設備がないとできなかったでしょうね。材料も他の部活の協力で、集められたことが大きいです」と顧問の野口聡子先生はいう。

学校の中の金属パーツを持ってきた

材料費の上限、作品の重さ、制約をすべてクリアしその上で見るひとに興味をもってもらうすばらしい作品が出来上がった

それぞれの部員も、他の部からの温かい応援に感謝をしている。

 「校内を回って、建築科で木材、機械科で金属、電子機械科で基盤をもらいました。電気科は電気工事士の資格を取るために、電線を使って練習をするので、さまざまな電線があって、それがこのスーツのデザインに生かされています」

「自分の家が町工場をやっているので、使えそうな金属部品などを持ってきました」

「100円均一ショップにもよく通いました。カラースプレーはかなり使いました」

高校生の作品は、かける材料費の上限がきまっている。作品の重さも決まっている。

これらの制約をすべてクリアして、さらに、見るひとに興味をもってもらうすばらしい作品が出来上がったというわけだ。

遊びの中から生まれたひらめきが 創作の原点だった

「段ボールのかぶりものを題材にして何かできないかしら?」自由度の高い美術部!

ある日、いつものように美術室では部員が集っていた。テレビのCMを真似て、段ボールをかぶって遊んでいる部員をみて、野口先生が声をかけた。

「段ボールのかぶりものを題材にして何かできないかしら?」

これが発端となって、新しいアートが誕生した。

段ボールの遊びから発想したものだけに、男の子がほしくなる夢のスーツだ。

これを装着したら誰にでも勝てる強くなるスーツ。ドラえもんの「どこでもドア」と同じように、あったらいいな、を現実で垣間見せてくれる楽しい作品だ。

いつもわきあいあいとして、自由度の高い美術部だからこそ、作りたいものが決まれば、みんなで分担し、協力してつくる楽しさがある。ときには、「なにを作っているのかわからない」とぼやきつつも、ひとりひとりがパーツの完成度をあげた。

美術品あるいは芸術作品と呼ばれると近寄り難いイメージを持ってしまうが、硬いイメージはなく、親近感を感じさせる作品になっている。汗まみれになりながら、創作した美術部員の5人の絆はさらに強くなった。

 「美術部では自らの手で、美しいものや面白いものが作れるという喜びを体感できる」という証の作品が出来上がったわけだ。

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