響け! 定時制吹奏楽部の音色

注目! 素敵な人、すごい部活!

2019/12/09

東京都立荻窪高等学校 吹奏楽部

 令和元年8月13日、明治神宮球場。全国高等学校定時制通信制軟式野球大会開会式において、実に17年ぶりに生演奏による入場行進曲の演奏が流れた。演奏したのは、都立荻窪高等学校、都立新宿山吹高等学校、そして都立松原高等学校の3校の定時制高等学校の生徒10人と、卒業生や教員ら10人で構成された連合楽団だった。入場行進曲「新しい風」(西浦達雄作曲、福田洋介編曲)、そして今回のために書き下ろされたオープニングファンファーレ(伊藤高明作曲)が、高らかに演奏され、会場を大いに盛り上げた。ここに至るまでには、多くの関係者の努力と協力があったことは言うまでもない。「音楽隊係役員」として運営を務められた荻窪高等学校吹奏楽部顧問の瓦田尚先生にお話を伺った。

定時制高等学校と部活動

都立荻窪高等学校は、平成19年に三部制、単位制、普通科の昼夜間定時制高等学校として開課程。生徒の希望進路実現のために、社会生活に求められる基本的な資質を身に付けさせる生活指導、本校オリジナルの「進路ノート」を活用した総合的・系統的なキャリア教育、スクールカウンセラーによる教育相談、ユース・ソーシャル・ワーカーを活用した自立支援など、生徒を支援するための多様な手立てをもって教育を進めている(都立荻窪高等学校HPによる)。

 

東京都では、現在、55校の都立の定時制高等学校があるが、家庭環境や経済状況などさまざまな事情を抱えた生徒も多く、定時制高等学校の部活動は、練習時間の確保も十分ではない。それだけに、少ない時間内での集中力が必要とされる。生徒の努力はもちろんだが、彼らを支える教員の熱意が、そこにはある。定時制では、教員が短期で異動になることも少なくない。全日制高等学校への転任を希望する教員が多いからだ。その中にあっても、思いを持って、ずっと定時制で頑張る先生たちや、全日制に異動してからも役員を続ける先生たちがいる。その先生たちが核となって、東京都では運動部だけではなく、文化部の活動を支え、毎年、「東京都立高等学校定時制通信制課程芸術祭」が開催されている。吹奏楽部は、楽器を揃えるための予算など難しい課題もあるが、数年前からは少しずつ増えてきて、合同バンドを作って演奏をするなど、合同演奏会の場面も増えてきていた。(2019年6月15日には、学校のある杉並区で「子ども・子育てプラザ天沼」にて荻窪高校吹奏楽部がコンサートを開催しており、その様子は杉並区HPに紹介されている。「子ども・子育てプラザ天沼で荻窪高校吹奏楽部がコンサートを開催しました。親子で楽しめる全10曲が演奏され、大人気のあの曲が流れると、音楽に合わせて子どもたちがダンスを披露してくれました。」)

 

そういった動きがあって、全国高等学校定時制通信制軟式野球連盟の役員に話をつないだところ、今回の演奏の実現に結びついた。瓦田先生は、「今回、このような機会があって、温かい大会運営に関われて、本当に良いなぁと思いました」と話す。また今年度、都立荻窪高等学校は、各種競技の強豪校としてよく知られているが、男女バスケ、女子バレー、卓球、陸上、剣道、バドミントンが全国大会に出場し大活躍の年となった。ますます生徒たちの活躍の場が増えるように、次年度もという思いは強いが、ここで大きな課題が浮き彫りとなっている。

危ぶまれる次年度大会開催

来年は、東京を中心に「東京オリンピック・パラリンピック」が予定されている。このため、多くの定時制通信制高等学校の大会は、会場確保に苦慮しているというのだ。すでに、明治神宮球場は使用できないことが決定している。全日制高等学校の硬式野球大会東京大会は、東京ドームでの開催が決まってるが、予算的にも定時制通信制では難しい。

また、全日制の高等学校の大会であるインターハイなどは、各都道府県持ち回りでの開催のために、会場確保の面でのオリンピックの影響は、ほぼない。しかし、定時制通信制の高等学校の大会は、ほとんどが東京都内または近郊で開催されている。その理由は、今現在、全国的に定時制の高等学校は減少傾向にある。東京でも減少しているとはいえ、まだ学校数が公立私立を合わせ定時制高校が59校、通信制を合わせるとさらに多い。しかし、県によっては学校数が数校というところもあり、定時制高等学校は厳しい現状にある。おのずと教員数も少なく、運営そのものができないということがあり、他地域開催は事実上なかなか難しい。

その中にあっても、先生たちは何とか生徒たちの活躍の場をと、模索を続けている。

駒沢 陸上競技場

千駄ヶ谷 東京体育館

教育と社会福祉

先述のように、定時制通信制高等学校に通う生徒たちの中には、さまざまな問題を抱えた子どもたちも少なくない。

瓦田先生は、地域の社会福祉関係との間にパイプを作るべきと考えている。ご自身も区の社会福祉関係と交流をもって、教育と社会福祉をつなぐことを大切にしてきている。生徒の卒業後の進路についても、就労か、あるいは職業訓練(能力開発センター)か、どの道がその子にとって良いのかを考える。また、卒業後も関係を切るのではなく、いつでもつながることができる制度が必要だという。

「教育と社会福祉」。次世代を担う全ての子どもたちが、教育を受け、さまざまな体験を得て、自立することができる環境作りを、社会全体のものとして考えるべきではないだろうか。

東京都立荻窪高校

〒167-0051 東京都杉並区荻窪5-7-20
  電話 : 03-3392-6436
  ファクシミリ : 03-3398-3284

全国高等学校体育連盟 定時制通信制体育大会 (2019年の日程)

 

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